2024/05/02
コンテンツマーケティングを戦略的に進めるうえで、重要になってくるのが「KPI」です。経営戦略や実績に基づいて設定されたKPIは、コンテンツマーケティングに効率性と一貫性を与えてくれます。
本記事では、コンテンツマーケティングにおけるKPIの概要、種類、うまく機能させるポイントについて分かりやすく解説します。
目次
コンテンツマーケティングで設定されるKPI※は、コンテンツの有効性を測る指標です。同時に、目指すべき数値目標としても用いられます。具体例として、Webサイトのトラフィック、エンゲージメント率などの数値指標が挙げられます。
KPIに採用される指標は「コンテンツマーケティングのKPIの種類」で詳しく解説します。コンテンツマーケティング戦略に応じて、適切な指標を検討しましょう。
※ KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)
KPIの役割 | 期待できる効果 |
パフォーマンスの測定 | コンテンツの効果を定量的に把握マーケティング活動の目標達成度を明確化 |
戦略の最適化 | 効果的なコンテンツの特定コンテンツ戦略の継続的な調整・改善 |
ROI算出 | 投資対効果の見積り適切な予算配分将来の投資判断 |
KPIを設定することで、コンテンツマーケティングの目標達成度を測ることができます。有力なコンテンツの特定や戦略の最適化を進めるうえでも有効です。さらに、数値目標の設定はROIの算出にも役立ちます。ROIを考慮したリソース配分、将来的な投資計画も明確になります。
KPI | KGI | |
定義 | マーケティング効果の測定指標 | 組織目標の達成指標 |
正式名称/日本語 | Key Performance Indicator(重要業績評価指標) | Key Goal Indicator(重要目標達成指標) |
評価の特徴 | タイムリーなパフォーマンス評価 | 長期的な企業成長を評価 |
集計期間 | 短期的(日次、週次) | 長期的(期別、年度別) |
具体例 | ページビュー数コンバージョン率 | 年間収益顧客満足度ブランド認知度向上 |
KPIが短期的な目標設定やマーケティング効果の測定に用いられるのに対し、KGIは企業の長期的なビジネス目標を評価するために使用されます。
KPIに関連するデータは、Web解析ツールやSNSプラットフォームからタイムリーに収集され、コンテンツ改善に役立てられます。KGIで使われるデータは、長期的なビジネス活動の結果(年間収益や顧客満足度など)として期別や年度別ごとに集計され、企業の戦略的な意思決定をサポートします。
コンテンツマーケティングで採用されるKPIについて、主要な6つを解説します。コンテンツマーケティング戦略に応じて、複数を採用する場合もあります。
「アクセス数」は、Webサイトやブログ、SNSコンテンツへの訪問回数を示します。「ユーザー数」は、Webサイトに定期的にアクセスする訪問者の数です。SNSではフォロワー数にあたります。
アクセス数はブランドの露出度を判断するうえで、効果的なKPIといえます。ユーザー数はコンテンツに対する継続的な関与度を表す指標です。ロイヤルティの高いユーザーベースを構築できているかを判断する上で、ユーザー数は重要なKPIとなります。
平均閲覧/視聴時間やそれに関連するKPIを分析することで、コンテンツの魅力度を評価できます。
Webサイトの記事や資料コンテンツの平均閲覧時間が長い場合、オーディエンスはじっくりと内容を読み込んでいることが分かります。動画コンテンツの場合、平均視聴時間や視聴率の他、動画再生から何秒後に離脱したかを示す「離脱率」も重要なKPIとなります。
WebやSNSのオーディエンスが連絡先情報を提供した時点で、リードと認識されます。リード獲得数が多ければ、契約数や最終的な売上増加の可能性も高まります。
コンテンツマーケティングでは、ウェビナーも有力なリード獲得窓口です。直接オーディエンスにアプローチできるだけでなく、製品やサービスに対するフィードバック情報もタイムリーに得ることができます。それぞれのチャネルでKPIとして、獲得リード数を見積もりましょう。
コンバージョンは、マーケティングの目標達成に貢献するユーザー行動です。具体的には、サービス申込、製品資料ダウンロード、フォーム入力などが挙げられます。
コンバージョン率はコンテンツごとに個別に算出されます。例えば、ブログ記事Aのコンバージョン率は10%、ブログ記事Bのコンバージョン率は5%などです。KPIとしてのコンバージョン率を設定する際は、チャネルの平均的なコンバージョン率を採用します。
一方で、特設サイトやランディングページ(LP)などは、個別にKPIを設定します。KPIの個別設定は、期間限定のコンテンツや目的が明確なコンテンツに有効です。個別にKPIを設定することでコンテンツ改善が容易になります。
SNSでの高評価(いいね)やシェア数は、ユーザーの共感度を示します。多くの反応があれば、ブランド認知の拡大が期待できます。コメント数は、コンテンツに対するユーザーの参加度合いです。SNSでの反応は拡散力を評価するKPIとして活用できます。
「売上」や「売上単価」、「獲得顧客単価」などの経済的側面からKPIを採用することも重要です。コンテンツマーケティング活動が収益にどの程度貢献しているかが明確になります。また、マーケティング活動の投資対効果が可視化されることで、最適なリソース配分も進みます。
例えばWeb広告とSNS広告のコストに対する売上貢献度を比較し、より効果的なチャネルに注力するといった戦略転換が可能です。
KPI設定は具体的な数字で設定されますが、何を基準にすべきか迷われる方も多いと思います。ここでは、KPIを設定する際に役立つ情報源をまとめて紹介します。
KPIを決定する際は、まず組織の経営目標を確認しましょう。経営目標は企業が長期的に目指す具体的な成果です。具体的には売上増加、市場シェアの拡大、新規顧客の獲得などが挙げられます。例えば「売上増加」が経営目標に掲げられている場合、コンテンツからのリード生成数やコンバージョン率が重要なKPIになります。
実績に裏打ちされたKPIを設定することで、目標がより現実的で達成可能なものになります。まず過去に高いコンバージョンを達成したコンテンツをフィルタリングしましょう。そのうえで、どのチャネルやコンテンツジャンルを重点的に展開すればよいかを評価/分析してください。そのうえで、評価が高かったチャネルやコンテンツジャンルにフォーカスしてKPIを設定します。
利用可能な社内外のリソースを把握することで、実現可能かつ効果的なKPIの策定につなげることができます。
社内で十分な予算や専門スタッフが確保できる場合、コンテンツマーケティングに動画チャネルを採用することもあるでしょう。その際は視聴者維持率なども重要なKPIとなります。
リソースが限られている場合は、テキストコンテンツや画像コンテンツを中心とした戦略を進めることになります。具体的には、ブログやSNSコンテンツに関連したKPIが決定されていきます。
ステークホルダーはコンテンツマーケティング戦略に関わるすべての個人やグループを指します。ステークホルダーからのフィードバックを得ることで、より戦略的なKPIが決定できます。
例えば、営業部門からのフィードバックにより、コンテンツのリード生成を重視するKPIが設定されるかもしれません。また、顧客からのフィードバックを基に、必要とされているコンテンツやチャネルが明らかになることもあります。
KPIを決める際、業界や競合企業の情報を参考にすることは有効ですが、必要な情報が常にオープンにされているわけではありません。業界メディア、Web解析ツール、ソーシャルメディアデータ、あるいは直接のコミュニケーションを通じて情報を獲得していきましょう。
業界/競合企業の情報獲得は、効果的なKPI設定につながる取り組みであると同時に、競争戦略の一環でもあります。競合企業よりもコンテンツマーケティングで先んじるためにも重要です。
項目 | KPIに反映させるポイント |
Specific (具体性) | 使用チャネルの選定数値目標の設定 |
Measurable (計測可能) | Web/SNS解析ツール活用 |
Achievable (達成可能) | 過去実績/業界/自社リソースに適応 |
Relevant (関連性) | 経営目標との整合性業界/市場の規模を考慮 |
Time-bounded (期限) | 次の四半期末までに~週間/月間で~ |
「SMART」は目標設定を効果的に進めるためのフレームワークです。S(Specific:具体性)、M(Measurable:測定可能)、A(Achievable:達成可能)、R(Relevant:関連性)、T(Time-bound:期限)という5つの要件を満たすことで、目標は明確化されます。
SMARTフレームワークを活用してKPIを設定することで、目標が具体的かつ実行可能な形で定義されます。Achievable (達成可能)やTime-bounded (期限)は、企業やビジネスの状況に応じて調整をしましょう。
最後に、KPIをうまく機能させるポイントについて詳しく解説します。すべて実務的なポイントなので、KPIを決める際は押さえておきましょう。
KPIを増やし過ぎると、管理が複雑化し、戦略に使用するリソースも分散してしまいます。また、多数のKPIを扱うため、チーム内での解釈の相違が生じる可能性があります。そのため、KPIは経営目標やマーケティング戦略に沿って、本当に重要なものだけを設定していきましょう。
定期的にKP設定を評価し、必要に応じて数値の修正や入れ替えを行う必要があります。コンテンツマーケティングに新たなチャネル(動画やメタバース展開など)が加わった場合は、新たなKPIを追加していきます。
業界や市場の変化にも対応していくことも大切です。例えば、行政による支援が期待できるビジネス分野が出てきた際は、経営戦略の転換が進む可能性があります。KPIで設定された数字も、経営戦略に応じて見直しを進めていきましょう。
関係部署間でKPIを共有することで、コンテンツマーケティング施策に一貫性が出ます。また、組織内で定期的にKPIのレビューを行うことで、進捗状況の確認や課題の共有、改善策の検討を効率的に進めることができます。
一方で、KPIはコンテンツマーケティングの方向性を示す戦略情報です。組織内での共有は重要ですが、情報漏洩にも注意を払う必要があります。
以上、コンテンツマーケティングにおけるKPIの概要、種類、うまく機能させるポイントについて解説させていただきました。
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