2022/03/30
リスティング広告は、近年よく利用されるWEB広告です。少ない予算でも運用でき、効果も十分見込めるため、誰でも運用しやすいです。そんなリスティング広告ですが、自社運用するか、代理店に任せるかお悩みの方が多いのではないでしょうか。どちらにもメリット、デメリットがあるので、どちらかに決めることは難しいですよね。そこで今回は、リスティング広告の運用方法について解説しつつ、自社運用と代理店運用の特徴をまとめてみました。自社運用と代理店運用を選択しきれず困っている方は、ぜひ最後までお読みください。
目次
本題に入る前に、まずはリスティング広告がどのようなものか簡単に押さえましょう。
リスティング広告とは、検索結果に連動して表示される広告のことです。検索行動はユーザーごとに違うため、広告の個別最適化がしやすいことがメリットです。またユーザーがクリックしたときのみ料金が発生するため、予算が膨らみにくい点もメリットです。
リスティング広告には「検索連動型広告」と「コンテンツ連動型広告」があります。「検索連動型広告」とは、Yahoo!の検索エンジンなどに表示される広告で、主にユーザーのこれまでの検索履歴を元に嗜好性の近い広告が表示される仕組みです。一方で「コンテンツ連動型広告」は、検索結果で表示されたコンテンツの内容と類似したコンテンツが表示される仕組みです。「コンテンツ連動型広告」だとユーザーの検索キーワードからわかる潜在的なニーズに訴求することができるため、こちらも有効な広告になります。
リスティング広告が果たす役割は、ターゲットユーザーを自社のLPに流入させることです。ユーザーがコンバージョンに至るフローの第一段階で活躍する、極めて重要なコンテンツになります。そのため運用の際は、コンバージョンの見込みがあるユーザーを狙っていきましょう。リスティング広告からの訪問者数が増えるとコンバージョン数も増えるため、売上とも密接に関わってきます。
リスティング広告の予算は、業種によって差はありますが、規模の小さい会社で月額10~100万円程度と言われています。計算式にすると、「1ユーザーあたりの獲得利益 × 目標件数」になります。リスティング広告運用の際、あらかじめ予算を見積もりたい場合などに活用してください。
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リスティング広告を自社運用する際は、次の手順で進めることになります。
リスティング広告運用は、まず最初にアカウントを開設します。Google AdWordsやYahoo!プロモーション広告が該当します。1社・1サービスで1アカウントを利用します。予算に応じてアカウント数を増やしていきます。とは言え、月100万円未満の会社であればアカウントは1つで十分です。
リスティング広告運用では、次にターゲット選定を行います。ターゲットを決めることでユーザーニーズをある程度特定することができ、商品やサービスをアピールしやすくなります。逆にターゲットが曖昧なままだと、広告の配信効果が薄れコストがかさんでしまいます。ターゲットを決める際は、年齢や性別だけでなく、居住地や趣味、購買行動、価値観なども具体的に考えます。こうすることで、明確な対象に魅力的なアピールを展開できるようになります。
次に、対策するキーワードを選定します。キーワードには、ビックワードとミドル・スモールワードがあります。ビッグワードとは1語の検索キーワード、ミドル・スモールワードとは2語以上のロングテールキーワードです。ビッグワードは検索ボリュームが大きい分、競合が多く広告の単価も高いです。一方ミドル・スモールワードは、検索ボリュームこそ少ないもののある程度需要があるキーワードも多いため、低単価で広告運用でき、予算に不安のある企業でも挑戦しやすいです。
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キーワード選定の次は、キャンペーンを設定します。キャンペーンでは、広告予算及び配信媒体を設定します。配信する地域・日時・時間帯の設定次第で効果が変わってしまうため、細かく戦略的に設定しましょう。また広告予算は、CVに近い顧客から順に配分します。運用後も、予算とコストのバランスを考え何度も修正しましょう。
キャンペーンの設定が終わったら、次は広告文を考えます。広告文は、ユーザーを惹きつけクリック率を高めるために重要な役割を果たします。商品やサービスを端的に魅力的にアピールしましょう。
この際、競合の商品・サービスと比較し自社が勝てる部分を見つけましょう。自社の優位性が固まったら、次に思わずクリックしたくなるような広告文を作成します。具体的な数値で実績を示すのがよくある手法で、かつ効果も高いためおすすめです。
広告文が決まったら、リスティング広告を公開します。しかし公開後も、リスティング広告を分析・改善し続け、常に最適な状態にする必要があります。Google Adwordsを活用し、キーワードやクリック率、CV率を確認しましょう。その上で、必要に応じて改善策を打つことになります。
冒頭でも紹介しましたが、リスティング広告にはメリットがたくさんあります。一方でデメリットも存在するので、それぞれ解説します。
リスティング広告のメリットは次の4つです。
リスティング広告はクリックが生じた段階で料金を支払う仕組みなので、数千円~数万円からでも始められます。キーワードプランナーを活用すると事前に広告費の目安をつけられるので、是非活用しましょう。
またリスティング広告は、商品・サービスを検索したユーザーに対し同じ商品・サービスの広告を配信するため、ユーザーの興味関心が高い状態でアプローチし見込み顧客にしやすいのが特徴です。
更に広告を配信するまでの期間が短いのもメリットです。従来のテレビCMだと広告配信まで数ヶ月かかる場合もありました。しかしリスティング広告なら、手順を踏めばすぐに広告を配信できます。
その上で、広告配信の継続・停止・改善を素早く行えるのもメリットです。テレビCMや看板広告のように1度配信すると変えられない仕組みではなくはないため、PDCAを回しやすいです。
これらの利点を活用すると、広告の最適化ができます。
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一方で、リスティング広告にはデメリットも存在します。デメリットは以下の通りです。
メリットとして確度の高いユーザーにアプローチできる点を上げましたが、裏を返すとその分広く認知を促すには不向きだというデメリットがあります。リスティング広告はユーザー検索キーワードに連動して広告が表示されるため、ユーザーによっては商品やサービスを伝えることができません。
対策キーワード次第では高コストになる危険性もあります。人気が高く競合が多いビッグワードを選ぶとその傾向が強いです。キーワードを選ぶ際は、予算とコストのバランスを考えましょう。
また、リスティング広告は細かく修正できる分、運用に手間がかかることもデメリットです。分析や改善を行うための専門的な知識も必要です。しかしこの点に関しては従来の広告と一長一短な部分です。より効果的に広告を展開したいなら、多少の手間は惜しまずに運用してみるべきでしょう。
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前項では、リスティング広告の基本情報を解説しました。リスティング広告は、低予算で見込み顧客に効率的なアプローチが可能で、広告配信まで素早く行え、継続や停止・改善も自在に行えます。しかし、運用ノウハウがない状態だと運用や改善に手間がかかってしまいます。
そこで、リスティング広告を自社運用するか代理店運用するか、という論点が生じます。次はこの論点について、自社運用にするメリット・デメリットを解説することで、自社運用と代理店運用の特徴をみていきます。
まずは自社運用のメリットについて紹介します。メリットとしては大きく5つあります。
リスティング広告を自社運用することで得られる大きなメリットが、コストを抑えられる点です。代理店に依頼することで発生する手数料コストがかからないため、その分を広告費に回せます。
自社でリスティング広告を運用することで、ノウハウを蓄積できることもメリットです。1つの事業でリスティング広告の運用ノウハウを確立できると、自社の抱える他の事業にも横展開できます。更に長期運用するほどノウハウの量が増えていくので、ロングスパンで見て大きなメリットです。
内部でスムーズに運用できるのも自社運用のメリットです。代理店を通すと、連絡によってラグが生じたり急な方針転換に対応できなかったりと不便な点があります。しかし、自社運用であれば社内でスピード感を持って対応できるでしょう。
自社運用の場合は、リスティング広告に費やす予算を気にせず少額から運用できるメリットもあります。代理店運用の場合、代理店側もマネタイズが必要なため最低予算を提示される場合があります。自社運用であれば予算の制限なく少額から始められるので、広告に予算を割けない、まずはお試しで始めたいと考える企業に向いています。
社内の部署間で連携を取りやすいのもメリットです。特に広告運用チームとWEB制作チームの連携が取りやすくなることでサイトの設計や変更が容易になるのは、広告運用をスムーズにするために大事です。
一方で、リスティング広告を自社運用するデメリットは次の5つです。
自社運用の場合、代理店に対する手数料コストが発生しない分、社員の人件費が必要となります。また社内運用のスキルがまだ無い場合は、教育費が必要となる場合もあります。しかし、自社運用で社員に払う人件費は一定であるのに対し、代理店運用の場合は手数料として広告費に一定の割合でかかるため、広告の配信数が増えるほど代理店運用の方がコストが高くなります。また教育コストもしばらくして社員で回せるようになるとかからなくなるので、トータルで考えると自社運用の方がコストは安く済みます。
リスティング広告を自社運用するには、常に最新の情報を収集する必要があります。自社の広告運用状況だけではなく、市場や競合の状況まで幅広くキャッチアップする必要があるため、自社運用するとその分時間がかかるというデメリットがあります。そのため、リスティング広告媒体の担当者とこまめに連絡を取り合うなど外部の存在に頼り、極力時間がかからないように工夫しましょう。
リスティング広告を自社運用にすると、担当者のスキルに成果が大きく依存することになります。そのため、場合によっては思ったほど成果が得られない場合があります。特に自社運用の経験がなかった場合、こうした状況に陥りやすいです。こういった場合でも、時間をかけてノウハウを蓄積していけば、やがて代理店と同じくらい成果を上げられるようになるので、根気強く続ける、またはリスティング広告の経験者を新しく雇用する、と言った方法で対処しましょう。
社内でリスティング広告運用を担当していた社員が退職するとなった場合のリスクが大きいのもデメリットです。特に担当職の引き継ぎは難しいでしょう。これまでの説明でもわかる通り、リスティング広告のスキルを身につけるのにはある程度時間がかかります。その上リスティング広告業務は属人性が強いため、担当者の退職が決まって短時間でスキルを引き継ぐのはかなり難易度が高いです。場合によっては、引き継ぎが上手くいかなかったせいでリスティング広告の成績が下降する可能性もあるため、担当者の退職が決まる前にノウハウのマニュアル化を進めましょう。
リスティング広告の運用は、成果が出ない、改善が進まないなど、順風満帆には行かないことの方が多いです。自社運用だと、こうした場面で相談する相手が外部にいないのがデメリットになります。その場合は、リスティング広告媒体の担当者に相談するか、外部のリスティング広告に明るい人材に相談するのが良いでしょう。
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今回はリスティング広告の自社運用について解説しました。前半ではリスティング広告について、基礎はもちろん、実際の運用方法も紹介しました。後半では、代理店運用と比較した自社運用のメリット・デメリットを紹介しました。自社運用と代理店運用でメリット・デメリットは表裏一体なので、対比するとそれぞれの特徴が理解できたと思います。
リスティング広告は、少額予算で始めることができ、ユーザーの顧客化につなげることができる優れた施策です。その分運用にはスキルが必要となるので、時間をかけて自社でノウハウを蓄積する余裕があるなら自社運用を、とにかく早く成果を出したいなら代理店運用を検討してみましょう。