2022/03/30
コンバージョン率とは、問い合わせ数(コンバージョン数)の増減に関わる重要な指標の1つです。コンバージョン率はそのWebサイトの集客力を表し、コンバージョン率が低ければいくら訪問者が増えたところで問い合わせ数はあまり伸びません。そこでこの記事は、コンバージョン率の基礎とコンバージョン率を上げる方法について解説します。
目次
まずは、そもそもコンバージョン率とは何かについて簡単に押さえておきましょう。
Webマーケティングにおいてコンバージョン率とは、Webサイトがユーザーに望む行動をユーザーがどれくらいの割合でとったか表す指標です。Webサイトがユーザーに望む行動はサイトによってまちまちですが、ECサイトのほとんどは契約に設定されています。一方で、ECサイト以外のWebサイトでは、問い合わせや資料ダウンロード、メルマガ登録などをユーザーに望む行動として設定しています。基本的にサイトからの売上を立てるには、訪問者数・コンバージョン率・単価のうちどれかを上げるしか方法がありません。その中でもコンバージョン率は最優先で上げるべき因数だと考えられています。
コンバージョン率の計算方法は以下の通りです。
コンバージョン率(%)=コンバージョン数÷訪問者数
このコンバージョン率は実は業種によって差があり、金融やメディア業界だと平均10%ほどです。一方コンバージョン率が低い業種もたくさん存在し、全体平均としては2~3%と考えられています。平均値と比べて自社サイトはコンバージョン数を稼げているのか、今後どの業種に関する記事を書けば良いのか考える上で、コンバージョン率の平均値は役立ちます。
コンバージョン率は自社サイトで扱う各商品・サービスのパフォーマンスを把握するためにも役立ちます。コンバージョン率が高いサイトから優先して施策を打つ、コンバージョン率を勘案して最適な施策を考えるなど、コンバージョン率と商品・サービスの施策は連動させることで真価を発揮します。またコンバージョン率は、各商品・サービスに関する広告効果を把握する際にも役立ちます。コンバージョン率が高いものほど広告効果も高いと考えられるため優先して広告を打とう、と判断できるのです。
サイト運営をされている方なら、CVRの他にCTRという指標も聞いたことがあるのではないでしょうか?CTRとはクリック率のことで、主にネット広告の効果を把握する際に利用されます。CTRのデメリットとして、広告から流入した後のユーザーの行動は測定することができません。そこで、サイトに流入した後コンバージョンに至ったかを把握するため、CVRが用いられるのです。CTRとCVRを合わせて活用することで、ユーザーのサイト流入前後を漏れなく分析できるようになるため、CTRとCVRは密接に関わっていると言えます。
参照:
参照:CVR(コンバージョン率)とは?計算方法から改善施策まで詳しく解説!
コンバージョン率が低くなってしまう原因として、大きく①市場要因と②自社・他社要因があります。
まずは市場要因です。市場要因の中でも、市場ニーズや環境の変化とGoogleのアップデートの大きく2つに分かれます。
コンバージョン率が低くなる原因の1つに、サイトで扱う商品やサービスを取り巻く環境や市場が変わっている可能性があります。商品やサービスは時期によってニーズに差があり、ずっと同じ状況が続くことはありません。そのため、自社で扱う商品やサービスに関する環境変化の情報はいつも最新の状態で把握しておきましょう。
Googleのアップデートによる変化もコンバージョン率が低くなる要因の1つです。Googleは常にユーザーが快適に検索エンジンを活用できるように、不定期で検索エンジンの改善を行っています。この変動は予告なしに行われ、検索順位に大きな影響を及ぼすため、コンバージョン率が突然低くなった場合、まずはアップデートが行われた可能性を疑ってみましょう。サーチコンソールは使うことで自社サイトがアップデートによる変化を受けたかどうかわかるため、積極的に活用したいツールです。
次に他社要因です。こちらは更に5つの要因に分類できます。
1つ目は、ユーザーに自社サービスが刺さっていないためです。そもそも自社がアプローチしているターゲットと自社サービスとの相性が悪ければ、いくら訴求してもユーザーに魅力を感じてもらえません。そのため、自社サービスの長所・魅力を理解した上で、今想定しているターゲットが本当に自社の魅力を必要としているのか考えてみましょう。
2つ目は、ユーザーの目を引くコンテンツが不足しているためです。ユーザーが自社サイトに流入しても、トップページで商品・サービスの魅力を上手に伝えられないと、ユーザーの離脱を招いてしまいます。またトップページで確保したユーザーにコンバージョンを勧めるためのキラーページでも、そもそもキラーページがない場合は論外、作っていてもサイトの見た目や内容によっては離脱を招く可能性があります。
導線やサイト構造など、サイト全体の骨組みの設計が甘い場合も、コンバージョン率は思うように上がりません。仮にサイト内にキラーページがあったとしても、そこまでユーザーを誘導できないとコンバージョンにはつながりません。今よりもコンバージョン率を上げたいと思うなら、現時点で自社サイトにどのような記事があり、どのような導線でキラーページに誘導するような構造になっているのか(なっていないのか)を分析してみましょう。分析した上で形式上キラーページまでの導線が設計できたら、更に内容面での誘導も試みます。ユーザーに魅力を感じてもらえるようにバナーのワードにまでこだわれているか、チェックしてみましょう。
サイト閲覧や申し込み時にユーザーがストレスを感じると、これもユーザーの離脱を招いてしまいます。本文中に専門用語がたくさん入っていたり分量が多すぎると、ユーザーは内容をしっかりと把握することができず挫折してしまいます。サイトがスマホに対応できていない場合も、スマホからのユーザーは閲覧にストレスを感じるでしょう。また問い合わせフォームなどコンバージョンの手前の段階で、フォームの入力に時間がかかったり記入方法がわからなかったりすると、入力を諦めて離脱してしまいます。このようにサイトのあちこちでユーザーにストレスを感じさせてしまうと、コンバージョン率は思うように上がっていきません。
では、上記の要因に対してどのような施策を打てば良いのでしょうか。ここでは、市場要因、自社・他社要因それぞれに対する施策を紹介します。
市場要因の対策方法は大きく、①変化を敏感に察知する、②変化に対応したサイト修正をする、の2つになります。
まず変化を敏感に察知する方法ですが、市場環境に関しては競合の動きを観察したり、消費者の購買行動を分析するというような、ビジネスにおいてよく使われる手法でリサーチすると良いでしょう。Googleのアップデートによる変化を察知する手法として有効なのはサーチコンソールでしょう。Googleが提供するツールなので、Googleのアップデートによって検索順位にどのような変動が生じたのか正確に教えてくれます。
次に変化に対応したサイト修正をする方法ですが、こちらは環境変動後上位表示されているサイトと自社サイトを見比べることで、どこをどのように修正することでGoogleから評価されるようになるのか見えてきます。タグの構成やコンテンツの内容など隅々まで比較し、両者の差分を分析することが大切です。この際、競合サイトになくて自社サイトにある良いところまで修正してしまわないよう、ユーザーの検索意図を正確にくみ取るようにしましょう。
自社・他社要因への対策方法は大きく4つあります。
1つ目は、キーワードとターゲットを明確にすることです。これらは自社サイトの目的に合ったユーザーを確保するために行う施策です。
具体的に、まずはターゲットとなるユーザーがどのような人か、ペルソナをイメージしましょう。そのペルソナの悩みを解決できるサイトにすることで、ターゲット層のアクセス割合が増え、コンバージョン率を上げることが可能になります。またその裏でタ-ゲット層以外のユーザーのアクセスを減らすこともできるため、この点でもコンバージョン率を上げることが可能です。
次に、対策キーワードを練り直しましょう。キーワードによって検索するユーザーの属性やユーザーの検索意図は変わります。キーワードによってコンバージョンしやすいユーザーが多い場合があれば、コンバージョンしにくいユーザーが多い場合もあるため、よりコンバージョンしやすいユーザーを狙ったキーワードで記事を書くようにしましょう。
参照:
2つ目は、サイトの導線やページ構造を見直すことです。具体的に3つの施策を行います。
まずはサイドカラムやフッターの改善です。Webページの左右にある空間や一番下の空間は、どのページにも必ず出現する部分だと思います。そこにはコンバージョンまでの導線が配置されていることがほとんどなので、真っ先に改善しましょう。
また、コンバージョンする方法が客観的に見てわかりにくいサイトは、導線がわかりやすくなるように工夫しましょう。ページの途中にも導線を配置したり、不要なコンテンツは取り除くことで、導線が目に付きやすいサイト構造になるはずです。導線のリンクやバナーの視認性を上げるのも有効な施策です。
3つ目はコンテンツの内容を工夫することです。工夫の方向性は大きく、①ファーストビューでインパクトを与える、②正確かつ魅力的に商品の良さを伝える、の2つあります。
ファーストビューでインパクトを与える目的は、ユーザーの離脱を防ぐためです。ファーストビューの印象が悪いと多くのユーザーが離脱してしまいます。それを防ぐために、トップページには高画質の写真やバナーに加え、商品やサービスの情報を適切に盛り込み、ユーザーから信頼されるサイトを目指しましょう。
正確かつ魅力的に商品のことを伝える目的も、同様にユーザーの離脱を防ぐためです。サイト内の情報に矛盾があったり、一般的に間違っているとされる情報を提供してしまうと、ユーザーに不信感を抱かせてしまい離脱を招いてしまいます。情報のソースに気をつけつつ、自社の良さをわかりやすく伝えるために、動画や図なども活用しましょう。
4つ目は、ストレスフリーなサイトにすることです。ユーザがストレスを感じないように、読みやすさと申し込みやすさを改善する必要があります。
読みやすさの観点では、スマートフォンでも読みやすい設定にする、表示スピードを上げる、などが有効です。スマホだと特にサイドカラムやフッターのレイアウトが崩れてしまうため注意が必要です。表示スピードに関しては、表示までに時間がかかるとユーザーはすぐに離脱してしまうため、サイトのデザインをシンプルにする、不要なコンテンツを削除する、Webサイトのサーバーを強化するといった施策で、データ量をできるだけ軽くしましょう。
申し込みやすさの観点では、フォームの入力項目を見直すことが大切になります。記入式が多い、記入例がわからないなどでユーザーが離脱してしまうと、あと一歩でコンバージョンにつながるからこそもったいないです。入力項目を必要最小限にする、項目は選択式にすることで、素早く入力できるフォームにしましょう。
今回はコンバージョン率の上げ方について解説しました。Webサイトで集客する際どうしても訪問者数の増加にばかり注力しがちですが、コンバージョン率が低いとコンバージョン数を伸ばすことはできません。しかもコンバージョン率は手を加えなければどんどん悪化してしまいます。コンバージョン率を上げ、コンバージョン数を増やせるように、今回紹介した施策で少しずつ対策していきましょう。