2022/04/08
インターネットが普及し、いつどこで誰でも情報を検索できるようになった現在、オフラインの営業だけでは顧客を獲得できず、サイトからユーザーの訪問を獲得するための「SEO対策」は、どの企業にとっても欠かせない集客活動となりました。しかし、「SEO対策」に関する情報はBtoC対策のものが多く、BtoB独自の気をつけるべきポイントや考え方に関して調べたけどわからない、という方も多いと思います。そこで本記事では、BtoBにフォーカスして、SEO対策の基本から成功するために気をつけるべきポイントなどを紹介します。
目次
まず最初に、そもそもSEO対策とは何かについて解説します。
SEO対策とは、検索エンジンでユーザーが検索した際、自社サイトを上位表示させるための施策のことです。SEO対策ができていないと、いくら記事を作成したところで上位表示されることはありません。逆にSEO対策をして検索結果の上位表示ができると、その分ユーザーの目にとまりやすくなり、ユーザーの流入数を向上させることができます。
SEO対策においてどのようなコンテンツを作るべきか、検索エンジンを運営しているGoogleから明らかにされています。要約すると、検索エンジンが質を評価しやすく、かつユーザーにとって役に立つ記事を求められています。特にユーザーに対しては、ユーザーの検索意図を理解し、ニーズを的確に満たすコンテンツを、わかりやすく提供することが重要です。
前項では、SEO対策について大まかにまとめました。
しかし「SEO対策」といっても、実はBtoBのSEO対策とBtoCのSEO対策とでは大きく異なります。ここではBtoB企業がSEO対策で取り組む際に気をつけるべきポイントを確認しましょう。
SEO対策において、BtoBとBtoCとの間で最も大きく違う点として、キーワードの「検索ボリューム」があります。検索ボリュームとは、とあるキーワードを検索エンジンで調べるユーザーがどれほどいるかを表す指標です。検索ボリュームが2000であれば、そのキーワードは2000回検索されたとわかります。
BtoBに関するキーワードは、BtoCと比べて圧倒的に検索ボリュームが少ないです。インターネットが普及したことで、企業の一員として検索する人よりも一個人として検索する人が多くなったことは想像がつくでしょう。つまり、BtoBはもともとの顧客数が少ないのです。業種によってまちまちですが、一般に1つのサービスに対して、BtoCでは数万~数百万、BtoBでは1000〜10000ほど顧客がいるとされています。
そのため、ただでさえ少ない顧客を競合に奪われないように、SEO対策によって検索順位を上げることが大切なのです。
BtoBのSEO対策では、BtoCの場合と比べてキーワードのスタンスが取りづらいことも注意点です。
キーワードのスタンスとは、ユーザーの検索行動を考えた上でコンバージョンに近い顕在顧客が検索しそうなキーワードを狙うのか、コンバージョンに遠い潜在顧客が検索しそうなキーワードを狙うのか、という方向性の違いを指します。例えば、コンバージョンに近いキーワードとしては、「◯◯ 比較」「◯◯ 外注」があります。一方で、コンバージョンから遠いキーワードとしては、「○○ 種類」など、まだ情報収集の段階で調べるキーワードが該当します。
BtoBでもBtoCでも、基本的にコンバージョンに近いキーワードを狙う方が集客につながります。ところが、BtoBの場合は、コンバージョンに近いキーワードが狙いにくいという特徴があります。理由は2つあって、1つ目にBtoBの場合コンバージョンにつながるキーワードの数がそもそも少ないことが挙げられます。また2つ目に、BtoBの場合最終的な意思決定までに複数の人が絡むため、検索ボリュームのほとんどをコンバージョンから遠いキーワードが占めていることが挙げられます。
そのため、コンバージョンから遠近両方のキーワードを対策すること、更にそのバランスを取ることが大切です。
BtoBの場合、BtoCと比べてカスタマージャーニーが複雑であることも注意点です。
SEO対策においては、ユーザーがどのようなニーズを持っていてどのような検索行動を取るのか分析し、コンテンツに活かすために、カスタマージャーニーを考えます。BtoCの場合、一般にカスタマージャーニーは、
認知→興味→情報収集→比較検討→購入
といった流れになっています。ところがBtoBの場合、意思決定に関わる人が多かったり、企業のステークホルダーが多種多様であるため、BtoCほど単純なカスタマージャーニーを描きません。カスタマージャーニーのフェーズを行き来したり、検索する人の属性が同じ企業内でも異なっていたり、次のフェーズに進むための決定要因の幅が広かったりと、一連の流れを想定することが極めて難しいのです。
しかし、逆にこのカスタマージャーニーを想定しきることができれば、対策キーワードの幅が広がり、競合が対策できていないユーザーにアプローチすることができるようになります。口コミやアンケートを駆使して、ユーザーのニーズ・検索行動を分析してみましょう。
また、BtoBの場合、「購入後」のフェーズがより重要になります。BtoBでは高額な商品やサービスを数年間にわたり使用するケースが少なくないので、コンテンツによって購入後のサポートまでカバーできていれば、顧客からの信頼を得られます。「購入後」までサポートするには、使い方や基礎知識などのFAQコンテンツを拡充することが有効です。
BtoBのSEO対策独自の注意点を理解したところで、次は実際の進め方を紹介します。BtoBのSEO対策は大きく、①検索意図分析、②キーワード選定、③コンテンツ制作、④リライトの4つのフェーズがあります。
まずは、ターゲットとなるユーザーのペルソナを設定し、ペルソナのニーズを分析しなければなりません。特にBtoBの場合は、複数の部門・役職の人物が意思決定に関与しているため、ペルソナも複数設定する必要があります。
複雑なペルソナのニーズを分析するには、①インタビュー・口コミ、②営業現場での質問内容を活用しましょう。①インタビュー・口コミは、特にターゲットに近い人からの情報を持ってくることが大切です。できるだけターゲットと一致したサンプルを分析することで、ユーザーのニーズを適切に捉えコンテンツに活かすことができるようになります。また②営業現場での質問内容も、分析することでペルソナのニーズを捉えることができます。商談中に相手から質問された内容は、恐らくオンラインの向こう側にいるユーザーも疑問に思っていることです。そのため、営業で質問された内容に応えるコンテンツを作ることで、ユーザーにとって有益な情報を提供できるでしょう。
ペルソナのニーズを明確にできたら、次は対策するキーワードを選定します。
ペルソナのニーズと検索行動を明確にした上で、SEOで対策するキーワードを検討します。その際、次の3つに気をつけましょう。
対策するキーワードは、できるだけロングテールワードにしましょう。検索エンジンでは、一語だけのキーワードを入力して検索することもできますし、二語以上のキーワードで検索することもできます。このうち一語のみのキーワードをビッグワード、二語以上のキーワードをロングテールワードと呼びます。ビッグワードは誰でも思いつくキーワードで対策もしやすいため、SEO対策をして競合に競り立つのは難しいです。
このため、まずは検索意図を分析して描いたカスタマージャーニーを元に、ペルソナが検索しそうなロングテールワードを洗い出しましょう。
ロングテールワードを洗い出すにしても、やみくもに考えていては、ターゲットがずれてしまう可能性があります。そのため、まずは自社サービスに近い主軸となるキーワードを決めましょう。その上で主軸キーワードに「価格」「メリット」「比較」「事例」などのよく使われるキーワードを組み合わせると、ターゲットをずらすことなくロングテールワードを洗い出すことができるのです。
ある程度ロングテールワードが洗い出せたら、それぞれのキーワードの検索ボリュームと対策難易度を調べます。検索ボリュームとはユーザーが検索する総回数で、難易度は同じキーワードを対策している競合サイトの多さ・強さを表します。
洗い出したキーワード全てを同じタイミングで対策するのは無理なので、どのキーワードを対策するか(対策しないか)、どのキーワードから対策するかの優先順位をつけることが大切です。その優先順位付けの材料として、各キーワードの検索ボリュームと難易度が必須なのです。
なお、キーワードの検索ボリュームと難易度は、Googleのキーワードプランナーを使って調べることができます。 詳しくは後述します。
参照:
キーワードを選定したら、Webサイトやブログなどのコンテンツを制作します。
この際、最優先で考えるべきことは、本当にユーザーのニーズを満たす情報提供ができているか、です。SEOと言えばテクニカルな施策のイメージを持たれる方が多いかもしれませんが、
検索エンジンは進化し続けているため、今ではテクニカルな手法で検索エンジンを「だます」ことができなくなってきています。もちろん検索エンジンが理解しやすくユーザーが利用しやすいように多少のテクニックは必要ですが、ユーザーのニーズに応える情報を盛り込むことが最優先事項です。
次点で必要な事項としてテクニックの代表的なものを紹介します。それは、タイトル・ディスクリプション・URL・altタグ・見出し・本文にキーワードを自然に入れ込む、というものです。これらの項目に対策キーワードを設定することで、検索エンジンに「検索キーワードと関連するコンテンツなのだ」と理解させることができます。
他にも重要なテクニックはたくさんありますが、それらについては以下の記事にまとめてあります。参考にしてみてください。
コンテンツは制作して終わりではありません。コンテンツ公開後に順位を日々計測し、分析と改善をする必要があります。分析と改善を繰り返すことで、市場の動向をつかみ、常にユーザーのニーズに応えるコンテンツを維持できます。逆に、一度コンテンツを作って放置してしまうと、市場の変化に対応できず検索順位が下がってしまいます。次項のツールを活用して、公開後の情報をキャッチアップし続けましょう。
前項では、BtoBのSEO対策をどのように進めるか、ステップごとに解説しました。次は、BtoBのSEO対策で必要となるツールを4つ紹介します。
SEO対策のための代表的なツールの1つが「Googleサーチコンソール」です。これはGoogleが提供している自社サイトの検索順位チェックツールで、
・キーワードごとの検索ボリューム
・記事・コンテンツごとの検索順位
・クリックされた回数
などを調べることができます。無料で利用できる上に、リライトの段階で必要となる情報を取れることから、SEO対策に必要なツールです。
「Googleキーワードプランナー」はGoogle広告の機能に付属して提供されるツールです。本来はGoogleに広告を出す際、キーワード表示回数やクリック数予測を分析するツールですが、別機能としてキーワードの月間平均検索ボリュームを出すことができるため、主にキーワード選定の場面で活躍します。
「見出し(hタグ)抽出ツール」も便利なツールです。記事を書く際、記事構成や段落分けはGoogleの検索エンジンからの評価にかなり影響する要素となります。そのため、競合サイトのうち上位表示されるサイトがどのような構成になっているか分析することは重要ですが、「見出し(hタグ)抽出ツール」で対策キーワードを入力することで、上位ページの見出しタグを抽出・分析できます。競合分析を効率的に行うために必須のツールです。
最後に紹介するのが「ahrefs(エイチレフス)」です。「ahrefs(エイチレフス)」は、競合サイトの
・検索流入推移
・流入キーワード
・流入キーワードごとの順位
などを簡単に分析できるツールです。特に、他のツールでは分析しにくい競合サイトのデータまで調べることができるのが優れている点です。「ahrefs(エイチレフス)」1つでSEO対策に必要なデータの多くを取ることができるため、有料ではあるものの必ず利用したいツールになります。
今回はBtoB向けのSEO対策についてを紹介しました。インターネットが普及した現代では、従来のオフライン営業だけでなく、オンラインで集客することが大切です。そのためには、SEO対策をして自社サイトを上位表示させる必要があります。BtoBにおけるSEO対策では、検索ボリュームの少なさや、カスタマージャーニーの複雑さなど、特徴を押さえた上で、各種ツールを活用しましょう。また、テクニックに頼るだけではなく、ユーザーのニーズに的確に応える情報提供を心がけましょう。