2022/11/27
現在ではウェブサイトやブログ記事などサイト運用をする上でSEO対策は必要不可欠になっています。そんなSEOを活用しながら、現在では国内だけにとどまらず、日本にいながらでも海外に向けたコンテンツを発信することが可能になりました。より効果的に海外からの集客数を増やし流入率を高めるためにはどのようなSEO対策が必要でしょうか。今回は海外向けSEOの特徴から対策方法まで実践的に解説していきます。
目次
まずはじめに、SEO対策とは「検索エンジン最適化(Search Engine Optimization)」の略で、検索エンジンで特定のキーワードが検索された際に、検索結果画面上に上位表示されるよう対策することをいいます。
SEO対策をすることによって、サイトの流入数を増やすことはもちろん、自社のサービスや商品に対するアクセス数の増加、ブランディング力の向上などさまざまな効果が期待できます。
検索結果画面上に表示されているWebサイトは「Googleアルゴリズム」に基づき評価されたものが表示されています。この「Googleアルゴリズム」とは、ユーザーに有益な情報を正確に届けることを目的に、Googleが公式的に判断基準を設け、その内容に沿ってWeb上にある全てのサイトは評価され順位づけされているというわけです。そのため、上位表示を狙うためには「Googleアルゴリズム」の本質を抑えた上で対策をする必要があります。
参照:SEOは本当に重要?SEO対策に取り組むメリット・デメリットを解説
海外SEOの本質的な考え方は国内SEOと同じです。Webサイトは全て「Googleアルゴリズム」によって評価されており、その判断基準は全て共通になります。そのため「検索ユーザーの求める情報を正確に網羅的に発信する」という対策方法に違いはありませんが、コンテンツを作成する場合、使用する言語が外国語になることや検索エンジンが国ごとによって違うなど海外SEOならではの特徴もあります。
SEO対策に必要な考え方として「検索ユーザー側の立場になり、検索ユーザーが求めるニーズを満たすコンテンツを提供する」という考え方があります。検索ユーザーにとって満足感のある記事を提供することでクローラーに評価され、その結果SEO対策に繋がるということです。海外向けSEO対策でもこの考え方は同じで、現地の検索ユーザーが求める情報を把握し、その国にあった表現方法でコンテンツを提供することが求められます。
海外向けSEO対策をする場合、もちろんターゲットは日本人ではなく海外にいる現地のユーザーです。国内向けに考えたコンテンツを単に翻訳機で翻訳しても海外向けのSEO対策にはなりません。現地のターゲットユーザーが実際に検索するキーワードを分析し、現時点で評価されている記事の競合調査を行った上でコンテンツを作成するようにしましょう。
冒頭でも触れましたが、各国によって検索エンジンの違いがあります。世界で主に使用されている検索エンジンはGoogleで、日本もGoogleが主流のためGoogleに対するSEO対策が大半を占めていますが、Google以外の検索エンジンが主流になっているところもたくさんあります。例えば中国ではGoogleはほとんど使われておらず、「Baidu」という検索エンジンが主流です。ロシアでは「YANDEX RU」、韓国では「NAVER」、北米やヨーロッパでは「Bing」が一定のシェアをもっているなど、ターゲットとする国によって主流の検索エンジンに違いがあることをおさえておきましょう。
海外向けSEO対策をする上で最も心がけたいことはトレンドの違いをおさえることです。
当然、日本と海外ではうけるものやトレンドが異なってきます。日本でのトレンドに合わせたコンテンツを英語で発信しても海外ユーザーには響きません。地域によって好まれるコンテンツには違いがあるので、検索エンジンだけでなくコンテンツ内容も合わせて、現地向けの対策を行う必要があるのです。
海外向けSEO対策をする場合、当たり前ですが使用する言語は日本語ではなく、外国語になります。
Internet World Statsの調査によると、インターネットで使用されている言語の1位は英語、2位が中国語、3位がスペイン語で日本語は8位です。海外向けのSEO対策がしっかり行われているコンテンツを英語で提供した場合、単純計算でも日本語で提供するより10倍の効果がみられることが分かっています。このような調査を活用して、どの言語で発信することが自社にとって有益かを判断してみても良いかもしれません。
海外SEOがうまくいけば、海外の検索エンジンでの露出が増えるため、その分検索流入数の増大が期待できます。アメリカやヨーロッパなどのいくつかの外国の検索ユーザーに向けたサイトを構築し、上位化したり多言語化したりすることで結果的にサイト全体の検索流入の増加が期待できるというわけです。外国から検索流入を獲得して、サイト全体の検索流入、ターゲットユーザーの数を拡大できる点が、海外SEOを実施することのメリットの1つとなります。
検索結果画面での露出が増えることで、ただ検索流入数が増えるだけでなくユーザーの目に触れる機会も増加します。自社のサービスや商品のブランディングがさらに加速し、ブランディング力の強化に繋がる点も海外SEOのメリットとなります。
国内のみにとどまらず、世界が市場になればSEO対策を通して新しい市場での発見や拡大が期待できます。効果が出てくるまで時間がかかるかもしれませんが、継続して対策を行うことで新市場の発掘が見込まれます。
海外向けにプロモーションを行う場合、多くは実際に現地に行きマーケティングを行う必要がありますが、SEO対策は現地に行かずとも海外向けにSEOマーケティングを行うことができます。正しく効果的に対策ができれば、国内にいながら直接現地のターゲット顧客の認知度を高め、自社のサービスや商品を海外に広めることが可能になります。
海外SEO対策で最もポイントだと言えるのがネイティブによる執筆です。精度の高い記事に仕上げるためには翻訳機を使って作成した記事よりも現地の言語に精通したネイティブが一から作成した記事が好ましいと言えます。現地によって好まれる言い回しや文章表現には様々な違いがあります。「文法の正確さ」や「書き言葉に適した表現」を意識するというよりかは、現地ユーザーにとって親しみやすい、使い慣れている表現方法で記事を作成することがポイントです。
参照:英語のSEO対策であっても上位表示を狙える手法と気をつけるべきポイント
外国語のキーワード選定の方法は、基本的には言語の違い以外に国内との大きな違いはありません。ただ外国語のキーワードは日本人にとってはなじみのないことが多いため、海外のユーザー、競合他社がどのようなキーワードを使っているのかを徹底的に調査する必要があります。
また、言語の使用方法が各国で変わることがあります。代表的な例として、日本語の「マンション」という単語の認識と、英語での「マンション」の意味合いには違いがあるように、英語だからといってそのまま現地の人に響くわけではないことも多々あります。可能であれば、キーワードの選定も現地の人と一緒に考えるとこのような誤差を防ぐことができます。
SEOキーワードに関してはこちらの記事を参考にしてください。
海外の検索エンジンで自サイトを認識してもらい、訪れたユーザーにも自サイトがどういったものなのか知ってもらうためには、その国の言語で作った同一の内容のページを言語ごとに用意する必要があります。URLの設定には、3つの対応方法があります。
1つはexample.jpのjpの部分を変えるドメインの変更、
2つめにja.example.comのjaの部分をenなどに変更するサブドメインの変更、
3つめにexample.com/ja/のjaの部分をenなどに変更するサブディレクトリの変更です。
日本語版・英語版・フランス語版・タイ語版などを1つのURLでまとめてディレクトリ階層で分けているパターンや、地域ごとにサブドメインを取りドメインごと分けているパターンなどがあり、SEO対策を行う場合、それぞれ気をつけなくてはならない点がその国によって異なってきます。多言語のサイトで大事なことは、それぞれのページで扱っている文言を検索エンジンへと適切に伝えられるようにすることです。
トップレベルドメイン(TLD)には分野別トップレベルドメイン(gTLD: generic TLD)と国コードトップレベルドメイン(ccTLD: country code TLD)の2種類があります。
日本では example.jp のようなccTLDで対応できても海外ではそうはいきません。基本的には自国のccTLDを優先して表示する傾向にありますので海外用にドメインを用意するか、現状のURLを使って海外用にURLを作成する必要があります。
Googleには公式的に発表しているガイドラインがあるので一読することをお勧めします。
参照:海外SEOで8割が失敗!多言語WEBサイトに最適なドメインとは?
https://spoke.cloud/ja/dont-use-wrong-domain/
対策したい国が決まったら、検索キーワードに対してのターゲットユーザーを明確化しましょう。
SEO対策ではコンテンツの内部がとても重要です。SEO対策に必要な情報を持っていたとしてもコンテンツ自体の内容が濃いものでないとユーザーにとって有益な情報とは言えません。海外向けの対策を行う前の段階でコンテンツ自体の質を高めることもとても重要なポイントです。
一度完成した記事を公開した後、Googleサーチコンソールなどを使い検索ボリュームや記事の流入率などを定期的に確認し、効果が見られない場合は記事のリライトを行いましょう。SEO対策でのリライトとは、すでに公開した記事を再度見直し、記事内に不足している情報や記事の書き換えを行うことで記事の利便性をアップデートすることをいいます。特にタイトルやメタディスクリプションタグの見直しをするだけでもSEO効果が高まりやすいです。
参照:SEOに強い記事の書き方とは?本質の部分からテクニックまで網羅的にご紹介
対策キーワードの選定とは、検索エンジンでユーザーが実際に検索するワードを把握しそのキーワードをもとに記事を作成していくことです。海外向けにキーワード選定を行う際は、そのキーワードが現地に特化したキーワードであるかを調査する必要があります。キーワード選定の際には、Googleの無料ツール「Google Adwords」の「キーワードプランナー」というツールを使用すると、対策したい地域の人がどのようなキーワードで検索しているかを知ることが出来るのでぜひ活用していきましょう。
対策キーワードが決まったら、そのキーワードで検索した際、検索結果面で上位表示されている記事の調査を行います。ここでのポイントは上位記事内に書かれている内容からユーザーが求めている情報を分析することです。
また、海外SEOでは、同じ検索エンジンで対策するとなっても、国ごとによって検索結果画面が異なることに注意しましょう。例えば、Googleであれば、日本のGoogle、アメリカのGoogle、イギリスのGoogleなど各国ごとに検索結果画面が異なります。たとえ英語で検索したとしても日本のGoogleを使用していれば、国内の検索結果が出てきます。対策したい国の検索エンジンを使用し、その検索結果画面から競合調査を行う必要があります。
〈各国のGoogle〉
アメリカ:https://www.google.com/webhp?gl=us&hl=en&pws=0&gws_rd=cr
イギリス:https://www.google.com/webhp?gl=uk&hl=en&pws=0&gws_rd=cr
フランス:https://www.google.com/webhp?gl=fr&hl=fr&pws=0&gws_rd=cr
スペイン:https://www.google.com/webhp?gl=es&hl=es&pws=0&gws_rd=cr
オーストラリア:https://www.google.com.au/
シンガポール:https://www.google.com.sg/
対策キーワードが決まり、キーワードに対する競合調査を行った後は実際に記事を作成していきます。まずは、コンテンツの流れを把握するため全体の構成を考えてみましょう。そこから各タグのSEO対策を行っていきます。
タイトルタグとは、検索結果画面に大きく表示される見出しとなる部分です。検索ユーザーの多くは、このタイトルタグを見て、「求める情報が書かれている記事であるか」を判断し、クリック率を左右する重要な役割をしています。検索ユーザーがクリックしたくなるようなタイトルを考えることが鍵です。
タイトルタグの文字数は日本や中国の全角文字の場合は、35文字以内、英語圏は半角文字なので倍の70文字以内に設定するといいでしょう。
メタディスクリプションとは、検索結果画面でタイトルタグの下に表示される小見出しのような部分を指します。タイトルタグにプラスして記事内容を簡潔に説明する役割をしており、これもユーザーにとってクリックするかどうかを判断する重要な役目を果たしています。
メタディスクリプションは、日本語、中国語の場合は80文字〜125文字程度、英語圏の場合は、160文字から250文字の設定がおすすめです。
検索ユーザーのクリック率は検索順位に大きな影響を与えるため、まずはタイトルタグとメタディスクリプションタグの設定に力を入れてもいいかもしれません。
いよいよ本文内容です。本文ではSEO対策を意識して文章を作るよりも読み手側にとって分かりやすい、読みやすい、有益な情報が書かれている記事であるかを意識することが何よりも重要です。不自然にキーワードを入れ込みすぎたり、SEO対策を意識しすぎるあまりに読みづらい文章になっては、ユーザーにとっていいコンテンツとは言えません。そのため、海外向けコンテンツでは日本語をただ翻訳機で翻訳しただけでは、文章全体が不自然になる可能性が非常に高く、検索エンジンからも評価されない記事になってしまいます。その国の言語に精通したネイティブによる添削が不可欠になるのもこのためです。文章全体が不自然にならないことを心がけましょう。
国内SEOに比べると、海外向けSEOにもいくつかデメリットがあります。
海外向けSEO対策をするとなると、多言語サイト専用のドメイン・サーバーを用意するための費用が必要になったり、自社で文章作成が難しい場合、外注するとなるとその分コストがかかってしまいます。
多言語でサイトを構築すると、管理するコンテンツが増えるため、一つ一つのコンテンツの質が落ちてしまう可能性があります。
海外向けSEO対策の場合、慣れていないとコンテンツの質が落ち失敗に繋がるケースが多くあります。しっかりと海外SEOの特徴をおさえて対策することが求められます。
例えば、英語で作ったアメリカ向けのサイトを同じ英語だからといってイギリス向けにも同じ内容のページを発信した場合、検索エンジンから重複コンテンツとみなされ、インデックスが削除されてしまうこともあります。発信する場合は、国ごとに競合調査の見直しをしたり、言葉の言い回しや記事全体のリライトをするなどして対策するようにしましょう。
日本のサーバーで海外のSEOを行うことはあまりおすすめ出来ません。インターネット上の距離が遠ければデータ通信速度は落ち、ユーザビリティに大きく影響する可能性が高いためです。1つのドメインで複数の言語を対策する場合であっても各国ごとにサーバーを用意するようにしましょう。
海外SEOと関連して多言語SEOというものもあります。同じものだと思われがちですが、少し意味合いが異なります。多言語SEOとは、1つの言語だけではなく、英語やスペイン語、中国語など、複数の言語を同時にSEO対策することをいいます。商品・サービスを1つの国だけではなく、出来るだけ大きな市場で展開させたい場合は、多言語SEOを対策するといいかもしれません。
多言語で対策する場合は必ずhreflangタグを使う必要があります。特に同じ内容のページを多言語で作成している場合にはrel=”alternate”を使う必要があります。
・キーワードプランナー
キーワードプランナーはSEO対策では欠かせないツールの一つです。SEO対策に必要なキーワードの選定や検索ボリュームの把握など効果的なキーワードのアプローチを知れることができます。無料で使えるため、SEO対策ではどんどん活用していきましょう。
海外SEOでも国内SEOでも対策するのに必要な考え方は、常に「検索ユーザーの検索意図を満たす情報を発信する」というところにあります。本質的な趣旨は両者とも同じですが、海外SEOでは、言語の違い、トレンドの違い、ドメイン言語ごとにURLをつけるなど、海外SEOならではの工夫も必要です。国内SEO対策とは少し離れた視点を持ち、SEOを通じて各国に市場を広げていきましょう。