2024/05/04
SEOに関わるのならば、E-E-A-Tの概念と内容の理解は欠かせません。
Googleでは、検索品質評価ガイドライン上で明確に評価基準として定めており、検索順位の向上だけでなく、情報発信の指針としてメディア運営者、担当者ならびにコンサルタントが日々、活動しています。
ただしE-E-A-Tについては、Google独自の考え方を示したものであることから、初心者に限らず、その対応は難易度が高いものとなっているのが現状です。
そこで今回は、SEOにおけるウェブサイトの評価向上の根幹ともなっているE-E-A-Tについて、具体的な施策も挙げながら解説することにします。
目次
E-E-A-Tとは、Googleがウェブページの品質を評価する際に使用する指標で、Experience(経験)、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を意味します。
元々は、E-A-Tという概念が存在していましたが、2022年12月にはExperience(経験)が新たに加わり、E-E-A-Tとしてアップデートされ、現在に至ります。
E-E-A-Tは、ウェブサイトが提供する価値を測定するための基準であり、SEOでは非常に重要な要素です。
それぞれ、どのようなことが考慮されるのか、Googleの検索品質評価ガイドラインを翻訳、参照してお伝えします。
参照:検索品質評価ガイドライン
コンテンツ制作において、そのトピックに必要な実体験や人生経験を、どの程度持っているかが評価対象です。
一般的に、経験の豊富さは信頼に比例します。
例えば、レビュー対象の製品を使用したことのある人のコンテンツと、そうではないコンテンツでは、どちらが信頼できるかという視点に立てば、経験の重要さが評価されることは理解できます。
コンテンツに必要な知識や技術をどの程度持っているかが評価対象です。
トピックによって、信頼できる専門知識のレベルや種類は異なりますが、例えば、電気工事において熟練した有資格者と、そうではない一般作業者とでは、明らかに前者を信頼する傾向が高くなります。
ただしコンテンツ化する場合は、一般向けに広く情報提供することで、ユーザーエクスペリエンスの向上にも繋がります。
ウェブサイトが、どの程度、情報源として知られているかが評価対象です。
政府統計、学術論文、公的機関などのウェブサイトやデータは、権威性と信頼性が高い情報源の代表的な例だと言えます。
一般的なコンテンツにおいて権威性を高めるには、専門家や業界団体からの推薦、引用、その他の信頼性の高い外部ソースから言及されることを目指します。
コンテンツがどの程度正確で、正直で、安全で、信頼できるかが評価対象です。
E-E-A-Tの中で最も重要視される概念となっており、ここまでお伝えした経験、専門性、権威性は、信頼性の礎でもあります。
どれかひとつでも欠けると信頼性にキズが付く、ということが、Googleの検索品質評価ガイドラインからは読み取れます。
Googleは、検索品質評価ガイドラインでE-E-A-Tについて、明確に定義しています。
また、Google検索セントラルのブログでは、
特に情報の質が非常に重要なトピックでは、信頼できる情報を Google 検索に表示するよう努めるという基本原則を捨て去ることは決してありません。
と言及していることから、かなり重要性の高さが伺えます。
SNSで詐欺的な情報やフェイクニュースなどが増えてる中で、より一層、正確で質の高い情報を提供することが求められます。
E-E-A-Tは、今後もSEOに大きな影響を与える指標で、4つの要素をいかに満たすかを考え、施策として実行することが重要です。
AIによるコンテンツ製作も次第に増えていくと考えられますが、事実誤認もありますし、検証、校閲という面ではE-E-A-Tをカバーするに至っていません。
やはり丁寧な作り込みが近道であると考えます。
YMYL(Your Money or Your Life)とは、ユーザーに直接、影響を及ぼす可能性のあるジャンルおよびウェブサイトのことです。
Googleの検索品質評価ガイドラインでは、
1.ニュース、時事問題
2.市民権、政府、法律
3.金融、財産
4.ショッピング、買い物
5.健康、安全
6人種、民族など
7.その他
の7つを例に挙げています。
E-E-A-Tにおいては、最重要の概念である信頼性に関わってきます。
E-E-A-Tの要素を高めるには、具体的かつ戦略的な施策が必要ですが、一概に述べられるものではありません。
個々のウェブサイトの内容、状況、目的、ターゲットおよび目標などが異なり、それぞれに適した施策が必要だからです。
次章では、一般的なE-E-A-Tの各要素を高めるための、施策について具体的に述べることにします。
経験の評価向上の施策としては、
1.一次情報で構成
2.体験談の活用
3.レビューする
の3つが挙げられます。
研究結果やインタビュー、調査結果などの一次情報は、オリジナリティがあり信頼性も高く、ユーザーに新鮮で新しい価値を提供することができます。
ネット上に存在する情報をアレンジして書き換える、いわゆるコタツ記事は新規性や価値が低くなりがちです。
特定の状況や問題に対して、実体験に基づいたコンテンツは説得力があり、似た状況のユーザーから共感が得られ、行動の動機付けにも貢献します。
また体験談は、補足や参考資料としても活用できるため、発信側としても貴重な情報素材です。
客観的な視点や知見に基づくレビューは、ユーザーの共感や反応を得やすく、コミュニケーションのきっかけにもなります。
ただし、ユーザーから発信されたコメントや口コミについては、不適切な投稿も想定されるため、ルール設定の上でチェックは欠かせません。
専門性の評価向上の施策としては、
1.特定テーマやジャンルに特化
2.専門知識の根拠や資格を示す
3.その道のプロにインタビュー
4.専門家による監修
の4つが挙げられます。
情報社会において、深い知識と知見は武器となります。
何かに秀でる、焦点を合わせて言及することで、一定の固定ファンや顧客の獲得にも繋がり、第一人者という立場を築くことも不可能ではありません。
独自の視点や解釈を織り交ぜながら、初心者から上級者向けまで幅広い層に向けて発信し、「〇〇ならこのサイト」と認識されることが理想です。
健康・医療関連なら医師、看護師、薬剤師、不動産関連なら宅建士や建築士など、いわゆるライセンスを示すことは重要です。
ライセンスだけでなく、経歴、実績、経験年数、成功事例、獲得スキルなども、十分に伝わります。
特に、知る人ぞ知る知識、業界ならではのマニアックな情報など、ユニークな視点も専門性の証明に値します。
プロの意見や考えを、インタビューを通してまとめ、それを活用することも専門性を高める手段です。
その人ならではの苦労話、秘話、エピソードなども、人間性を伝える上では重要な情報となります。
専門家の監修が入ることで、正確さを証明できます。
ここでしか知り得ない情報を発信できることも可能であり、オリジナリティあるコンテンツの展開が可能です。
ただし、監修者の選任については、十分に検討を重ねることが求められます。
権威性の要素における評価向上の施策としては、
1.公的機関からのリンク
2.実績や活動の開示
3.書籍の執筆やホワイトペーパーの発信
4.サイテーションの獲得
の4つが挙げられます。
官公庁、地方公共団体、業界団体などからのリンクは、権威性を高める重要な証拠として機能します。
ただし、すでに権威性の高いウェブサイトからリンクを得ることは容易ではなく、発信する情報の質を高めるだけでなく、活動自体を評価されることが必要です。
そのうえで、機会を見てウェブサイトをリンクしてもらえるよう依頼する、という手順を踏むことが求められます。
特定の分野での活動や取り組み、達成した成果等を公開し、SNSなどで共有が増えると、サイテーションの獲得にも貢献します。
開示する情報は正確で新しいほど望ましいわけですが、過去の実績や活動が否定されることはありません。
新たな活動実績があがった場合は、継続的に取り組んでいることを示すために、更新を怠らないことが重要です。
書籍の執筆やホワイトペーパーの発信は、その分野の専門家であることを示す具体的なツールとなります。
また、他の専門家からの引用や言及も権威性を高める要素となります。
書籍の出版数や販売部数、公開しているホワイトペーパーの数と資料として引用された回数など、客観的な数字は権威性の指標として有効です。
ウェブサイトやビジネスなど、他のウェブサイトやSNSで引用、紹介されている状態をサイテーションと言います。
サイテーションでは、NAP(社名・屋号・ブランド、所在地、電話番号)という固有情報が重要であり、複数の存在や、若干の違いがあれば、ニセモノや似たものだとの誤解を受ける可能性を否定できません。
サイテーションの獲得においては、Googleビジネスプロフィールの活用が代表的です。
信頼性のの要素における評価向上の施策としては、
1.ファクトチェック
2.論文や公的な統計の引用または参照
3.ユーザーの声を掲載
4.著者経歴や編集ポリシーを公表する
5.Googleビジネスプロフィール登録
の5つが挙げられます。
信頼性の確保に関しては、ユーザーが信頼できる情報源と認識することが不可欠で、そのためにはファクトチェックが重要な役割を果たします。
特に、誤った情報の提供は、信頼性を大きく損なう可能性があります。
地味な活動ですが、情報の出所を確認し、他の信頼性の高い情報源と照らし合わせるなど、昨今のコンテンツ作成には欠かせません。
それでも間違った情報があれば、それを訂正し、ユーザーに伝えることも重要です。
訂正や修正の措置は、ユーザーの信頼を取り戻す手段のひとつであり、リピートの機会を高めることにも寄与します。
情報の正確さと信憑性の確保には、論文や公的な統計の引用および参照が推奨されます。
一般的に精度、客観性、信頼性が認められている情報源であるため、適切に利用することでコンテンツの信頼性を向上させることができます。
その他にも、専門家の意見やエビデンスに基づいた情報、研究結果や業界団体のトピックなども、引用または参照の価値がありますが、その際は引用方法とその理解、出典の明記の上で実施することが重要です。
ユーザーによる評価や感想などは、商品やサービス市場での評判、他のユーザーが行動を起こすきっかけ、あるいは判断基準となります。
ただし、ユーザーの声を掲載する際は、匿名よりも個人または法人名など署名があると、より強力な信頼性を得られます。
匿名では信憑性が確認できないため、捏造を疑われる可能性が高くなることが否めません。
せめて本人の似顔絵、または遠景やニックネームの記載といった、代替手段の採用をおすすめします。
ウェブサイトの運営においては、コンプライアンスの遵守、個人情報保護、利用規約などについて述べているページの公開は、もはや当たり前となっています。
オウンドメディアともなれば、信頼性を証明するために、運営者や著者の経歴、編集ポリシーなどの公開も有効です。
著者の経歴を詳細に記述し、編集ポリシーとして情報源の選定基準、事実確認のプロセス、記事がどのように作成、編集、更新されているかを明らかにすることで、クリーンな運営であることを示すことにもなります。
Googleビジネスプロフィールは、企業またはブランドの情報を管理、表示する無料ツールです。
登録された情報を基にGoogleが存在を確認するため、登録情報の信頼性が担保されます。
また、サイテーション(他サイトからの引用)や口コミの収集にも有用で、良質なサービスや製品を提供することで、ポジティブな口コミを獲得できれば存在感を示すことができます。
SEOの重要な要素であるE-E-A-Tについて、少し詳しく解説しました。
E-E-A-Tは、Googleの検索品質評価ガイドラインでも定義されていることからも、ウェブサイトの評価を大きく左右する指標のひとつです。
4つの要素は相互に関連し合っていることから、SEO担当者にかかる責任は重くなりますが、基本的にはユーザーファーストを軸に施策を実行することが、評価の向上に繋がります。
単発で終わることなく、持続的に施策を積み重ねることで、ウェブサイト全体としてのE-E-A-Tは高まります。