2024/05/02
コンテンツマーケティングの有効性が広く知られるようになり、その取り組みを成功に導く立役者として「コンテンツディレクター」が注目されています。
本記事では、コンテンツディレクターの概要や業務内容、重要性を解説します。
目次
コンテンツディレクターは、企業や組織におけるコンテンツ戦略の企画・立案・管理を行う役職です。Webサイト、ソーシャルメディア、動画、電子書籍など様々なデジタルコンテンツの方向性を決め、ブランドメッセージを発信するための指揮を執ります。
特にコンテンツマーケティングでは、顧客への効果的なリーチを実現するコンテンツ計画の策定と、品質の管理・改善を主導する役割を担います。
近年、コンテンツマーケティングがブランド力や顧客関係の向上に効果的であることが広く認識されるようになりました。多くの企業がコンテンツ制作に力を入れるようになり、コンテンツディレクターへのニーズが高まっています。
また、コンテンツマーケティングで使用されるチャネルが多様で複雑になりました。コンテンツディレクターは、WebサイトやSNS、動画など複数のチャネルでのコンテンツ配信を管理し、統括する重要な役割を果たします。
関連記事:S-Fleage「コンテンツマーケティングとは?情報配信が築く中長期的な顧客関係」
カテゴリー | 資格/検定名 |
データ分析 | 統計士データ解析士 |
Web解析 | Webアナリスト検定Googleアナリティクス個人認定資格(GAIQ) |
広告運用 | Web広告エキスパートGoogle広告認定資格 |
マーケティング全般 | マーケティング・ビジネス実務検定 |
コンテンツディレクターに特別な資格は必要ありません。一方で、関連する資格やライセンスはチームスタッフ間での信頼を得るうえで役立つ場合があります。
例えば、公益社団法人日本マーケティング協会が提供するマーケティング資格や、国際実務マーケティング協会のIMSSA認定マーケティング実務士ライセンスなどがあります。
一方で、資格以上に重要なのはコンテンツディレクターとしての素養です。アイデア発想力、企画力、理解力、コミュニケーション力、リーダーシップなどが実務レベルで求められます。
比較項目 | コンテンツディレクター | Webディレクター |
職務範囲 | コンテンツ戦略の立案と実行コンテンツの一貫性保持と管理 | Webサイト全体の設計/管理技術者への指示 |
主要スキル | コンテンツマーケティング編集/部署調整 | Webデザインユーザーエクスペリエンス技術的知識 |
目標 | コンテンツマーケティングの成功 | Webサイトの機能性と利便性向上コンバージョン率の最適化 |
技術的要求 | CMS操作 | Web開発技術(HTML/CSS、JavaScript) |
コンテンツディレクターとWebディレクターは、どちらもデジタルコンテンツの制作に関わる仕事です。しかし、役割や責任範囲に違いがあります。コンテンツディレクターは主にコンテンツの品質管理を担当し、コンテンツマーケティングをサポートします。一方、WebディレクターはWebサイトの機能と設計を主導します。
参照:厚生労働省 職業情報提供サイト(日本版O-NET)「Webディレクター」
コンテンツディレクターの具体的な役割、業務を解説します。状況に応じて、チームスタッフに任せる業務部分もあるでしょう。また、専門ツールを活用することで業務は効率化できます。スケジュール管理やマネジメント、コンテンツ評価などでツールの活用が推奨されます。
コンテンツタイプ | 説明 |
Webサイト | インターネット上の企業窓口ブランディングや企業情報提供 |
ブログ記事 | 専門知識/情報顧客に役立つ情報の配信 |
動画 | 視覚的訴求力とエンターテイメント性を活用したコンテンツ |
インフォグラフィック | 複雑な情報を視覚的にシンプルに表現 |
eBook | 詳細な情報を提供し、リード獲得 |
ホワイトペーパー | 専門的情報やデータを体系的に整理した長文コンテンツ |
SNS | 情報拡散とユーザーとのエンゲージメント強化 |
メールマガジン | 顧客との定期的なコミュニケーション |
ウェビナー | 直接顧客に訴えるインタラクティブコンテンツ |
コンテンツマーケティングにおけるターゲット層とそのニーズを確認します。その上で、目的に応じたコンテンツのフォーマット(テキスト、音声、動画など)と発信チャネル(Webサイト、SNS、ポッドキャストなど)を選定します。そして、具体的なコンテンツの種類や配信方法を決めていきます。
コンテンツ企画はコンテンツディレクター1人で進める業務ではありません。マーケティング担当者の要望やクリエイターの意見を踏まえ、実現可能な企画にすることが重要です。
関連記事:S-Fleage「コンテンツマーケティングの戦略立案プロセスを6段階で解説」
複数のコンテンツ制作プロジェクトを同時に進行させ、スケジュール通りに完了させるために、スケジュール調整/管理を行います。制作が遅れる場合もあるので、時間に余裕をもたせることも大切です。
また、コンテンツの公開時期はマーケティング戦略と連動させる必要があります。マーケティング担当者ともスケジュール調整を進めていきます。Googleカレンダーなど、スケジュール共有ツールを活用すると業務が効率化できるのでおすすめです。
コンテンツ制作チームのマネジメントはコンテンツディレクターの重要な業務の1つです。ライターやデザイナー、エンジニアなど、様々な専門家を統括し、プロジェクトの円滑な進行を図ります。スタッフにそれぞれのタスクの優先順位も伝え、コンテンツ制作を効率化させます。
チェック項目例 | 説明 |
文法・表現の正確性 | 誤字脱字、文法(ロジック)、表現の不自然さをチェック |
デザインの一貫性 | ブランドガイドラインに沿ったロゴ、フォント、カラーパレット |
法的・コンプライアンス評価 | 著作権法、商標法、個人情報保護法、企業倫理規定の遵守 |
剽窃点検・情報源の信頼性 | CCD活用、ファクトチェック |
SEO対策・パフォーマンス | 検索エンジン最適化とコンテンツの読み込み速度 |
ユーザーエクスペリエンス | アクセシビリティ、モバイル対応ユーザーが得る体験の質を検討し改善点を提案 |
出来上がったコンテンツの文法や表現の正確性、デザインの一貫性、技術的な問題などを検証し、必要に応じて修正を指示します。剽窃点検や法的な評価、コンプライアンス評価も行う場合もあります。法律的な問題点の洗い出しには、専門家の意見を仰ぐことも大切です。
コンテンツの品質確認が問題なければ、実際に配信となります。しかし、配信後もコンテンツの効果を測定する業務があります。
効果測定には、Web解析ツールやソーシャルメディア分析ツールを使います。WebやSNSの分析機能が搭載されたMAツール※を使う場合もあるでしょう。
効果の低いコンテンツは改善する必要があります。時間の推移と共に、コンテンツの正当性も薄れることも考えられます。コンテンツの効果測定は定期的に行うことが大切です。
※ マーケティングを自動化(Marketing Automation)するためのツールです。
コンテンツ制作を統括する立場として、経営陣やマーケティング担当者、クリエイターチームなどの部門を横断したコミュニケーションが大切になります。ここでは、円滑にコンテンツ制作を進めるために、コンテンツディレクターが気をつけるべきポイントを解説します。
コンテンツを企画する際は、企業戦略との整合性が重要です。クリエイティブな発想力は大切ですが、ビジネス目標や企業方針から乖離したコンテンツは、組織のブランディングを阻害してしまう恐れがあります。
コンテンツ戦略の立案段階から経営層や関係部門と綿密に連携し、会社のビジョンや現状課題をしっかりと把握しましょう。コンテンツ制作の方向性が企業理念や製品・サービスの価値観と合致しているかをチェックし、クリエイターとの調整を進めます
コンテンツ制作チームだけでなく、マーケティングやセールスなど他部門ともコミュニケーションを取り、情報の共有を図りましょう。情報共有を徹底することで、部門間の連携や調整がスムーズになります。定期的なミーティングの他、クラウド上の共有フォルダやチャットツールの活用もおすすめです。
横の連携だけでなく、経営層との情報共有も大切です。定期的な報告を通じて、信頼関係の構築につなげます。
コンテンツ公開前の未然対処はもちろんですが、実際にトラブルが発生した場合の方針もあらかじめ準備しておく必要があります。コンテンツ公開前は「コンテンツの品質確認」にあるように、剽窃点検や法的評価、コンプライアンス評価を進めます。
点検が十分でも、コンテンツ公開後に炎上や著作権などのトラブルが発生する可能性はゼロではありません。事前に初動対応マニュアルやあらゆる自体を想定したリスクマネジメントをすすめることが大切です。
参照:政府広報オンライン「あなたは大丈夫?SNSでの誹謗中傷 加害者にならないための心がけと被害に遭ったときの対処法とは?」
参照:総務省【特集】SNS等の誹謗中傷 | 安心・安全なインターネット利用ガイド
コンテンツディレクターは専門業務を担います。コンテンツ作成や配信に関する知識と技術も必要です。社内に適切な人材がいればよいのですが、いない場合は社内で育成、もしくは外注をすることになります。ここでは、コンテンツディレクターの外注メリット/デメリットと契約料金の相場を解説します。
メリット | デメリット | |
社内で起用 | 組織文化との整合性がとりやすいコミュニケーションが円滑即座のフィードバックと調整が可能 | 訓練に時間とリソースが必要スキルや経験の不足 |
外注 | 専門知識と経験に即アクセス契約オプションによって拡張性が高い短期間の利用も可能 | コストの増加情報共有が難しい場合もある |
社内起用の場合、コンテンツ制作に社内文化やビジネス目標が反映されやすいといったメリットがあります。チーム内での連携も円滑です。一方で、コンテンツディレクターを社内育成する場合は教育時間とリソースの投資が必要になります。
外注の場合はすぐに専門知識や技術が利用可能になります。契約期間も変更できるので、プロジェクトの動向に応じ、柔軟な業務拡張が可能です。ただし、外注を長期的に利用した場合は、社内起用に比べてコストパフォーマンスが落ちる場合もあります。
コンテンツディレクターを外注する際の契約金額は、案件の規模、期間などによって大きく変動します。月単位での契約となる場合が多く、一般的な相場としては数十万円/月程度が目安となります。大型案件であれば、月額100万円を超えるような高額な契約金額になることもあります。
人材などの社内リソースに制限がある場合、外注を活用するメリットは大きいでしょう。特に、LP作成やキャンペーンサイト構築など、期間限定の業務であれば、外注が最適なソリューションといえます。
コンテンツディレクターはコンテンツ作成の管理/調整だけでなく、マーケティング部門との密接な連携によって、企業のコンテンツマーケティングを成功に導く重要な役職です。
以上、コンテンツディレクターの概要や業務内容、重要性を解説させていただきました。株式会社S-Fleageは皆様のコンテンツマーケティングをサポートいたします。コンテンツディレクター業務の外注からコンサルティングまで、ぜひお気軽にご相談ください。